メンフクロウの羽毛 妻が皿を持って立ち上がると その横顔が不意に 目をつむったメンフクロウに似ていることに気付いた 台所でこびり付いたソースを洗う表情は 何だか見知らぬ少女の泣き顔にも 見知った妻の顔のようにも見える ワイドショーの音に反応して妻は柊の葉に似る メンフクロウはもう何処にもいない 「この人、かっこいいわよね。演技も素敵だし。 そういえばあなた、この前牛乳屋の佐多さんが あなたのことかっこいいって言ってたわよ。 たぶん、ジャズを聴きにいくから綺麗な格好を していた時ね。なんだか凛としてて 柊の葉みたいだって、言ってたわ。 佐多さんて、詩人みたいなこと言うわね」 皿を洗いながら妻が言う。何だか暮れ方の空のようだ。 「柊の葉ねえ。俺はこの前会社で、年下の部下にさ、 鈴山さんて百科事典みたいですね、と言われたよ。 喜んでいいのか恥じていいのか、いまいちわからなかったね。 ま、打ちっ放し行って、何も考えないようにしたけど。 あそこの練習場だと俺、おでんの大根みたいだって 友達に言われんだよね。これはちょっとムッするな」 ソファに埋もれたままで私が返す。 庭から上がってきた娘が台所を通り過ぎた 天使の翼のようなものが娘の背中に見える 床に落ちたのはメンフクロウの羽毛だった ------------------------------- こんばんは田村大介です。 先日発刊された、『びーぐる』という詩の雑誌の投稿欄にて、僕の『象の島』という作品 が選外佳作に選ばれました。選んで頂いたのは詩人の杉本真維子さん。 選外佳作なので作品は載っていませんが、僕の名前と作品名が載り、そして杉本さん からの考評も頂いております。 嬉しいなー、自分の名前が活字になったのは初めてだ。もっと良い作品を書いて、選外 ではなく入選になるように頑張ろう! ちなみに『象の島』はこれからまた推敲していきますので、このブログでの掲載は未定 とさせて頂きます。あしからずー。 ではまた!
by tamura_daisuke
| 2011-02-04 18:46
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